「キレイゴト。」

演出家:日向あこ

キャスト:中園良輔 深沢未来

 

劇団紹介:2012年発足。演劇を中心とする表現団体。日向あこが総合演出を務める。色、姿、形といった、作品の中の「綺麗な光景」に焦点を合わせた作品創りを行う。70年代の少女漫画を彷彿とさせるノスタルジックな戯曲と演者自身が持つ空気を活かした演出、豊かな色彩感覚を融合させた世界観は、「濁りのない光景」と評される。

 

作品紹介:男一人と女一人は、「良い人」になろうとしていた。聖書を取り出し、罪を悔い改め、己を見つめ直そうとしていた。女は、日常の快楽を捨てられず苦悩し、男は、そんな女を「良い人」へ導くために精一杯であった。平穏で暖かい暮 らしが脅かされて、初めて人間は、進み始めた崩壊を止めようともがく。これは、アラバール「祈り」を用いた、紛れもない、現代日本の話。


 「ひょっこり船」

演出家:琴松蘭児

キャスト:紗織、比留間彩理 他

 

劇団紹介:ひょっこり船は、さる劇団の客演として知り合った女性4人のユニットです。我々は皆さまの前に不意にひょっこり現れます。つつましやかに、しかも、ほがらかに世界をひっくり返すような楽しいことをせんと企んでおります。

 

作品紹介:奥様の留守に“奥様と女中ごっこ”を繰り広げる女中の姉妹、クレールとソランジュ。ごっこの中で奥様に対する恨みと羨みをぶちまけ、そのラストでは奥様を殺すのだった。そこに本物の奥様のが帰ってきて2人はその筋を本当に実行しようとするが……。現実は本当か嘘か。どうにもならない境涯を2人は嘘によって乗り越えることができるのか? そして遊びは現実になるのか?


「劇団さぼてん」

演出家:丸畑亜寿香

キャスト:内藤昇平 田中達也

 

団体紹介:同じ学校の仲間たち。さぼてんの花言葉、燃える心を持った奴ら。

作品紹介:私はその日人生に、椅子をなくした。男がふたり、どちらが死ぬか言い合っている、そんな話。 


「劇団MIRレパートリー」(韓国)

演出:李哉尚(イ・ジェサン)

キャスト:チェ・ユンジュン、チェ・ヒヨル、イ・ユギョン、チョン・イェファンほか

 

団体紹介:平均経歴15年以上の演劇人が集まり2007年結成した劇団で、「芸術としての演劇」、「生きている演劇」、「人間の魂の進歩」をモットーに活動している。演劇精神の活性化と創造的作品の完成のために、安定して定期的なレパートリー劇団として活動していて、多様な国際交流及びレパートリーの交換、常時ワークショップなどを通じた劇団の力量強化にも力を入れている。 

 

作品紹介:『アンティゴネἈντιγόνη』は古代ギリシャの悲劇作家ソポクレスが紀元前441年に作った悲劇だ。テーバイの王クレオンと、幼い少女アンティゴネの葛藤を題材にしている。アンティゴネはテーバイのオイディプス王の娘だ。ソポクレスが書いた戯曲は123編であるが、伝わっているのは7編だけであり、アンティゴネはオイディプス王とともに長い間世界中で公演されている。ドイツの詩人・劇作家であるベルトルト・ブレヒトとフランスの劇作家であるジャン・アヌイによって書き改められ公演された。


「フジタタイセイfrom劇団肋骨蜜柑同好会」

演出家:フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)

キャスト:海底二万海里(肉汁サイドストーリー) 室田渓人(劇団チャリT企画) フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)

 

劇団紹介:劇団肋骨蜜柑同好会より、主宰フジタタイセイが単独参戦。「演劇とは方法論ではなく存在論である」を基軸に、既製品を多用したシンプルで分裂的な舞台構成を行う。出会いの装置としての劇場を通して、言葉と肉体、鞭と縄、世界と私が交錯する魔術的空間の構築を目指す。

 

作品紹介:1947年6月6日、名人木村義雄は追い込まれていた。十年不敗とまでいわれた、大名人木村義雄がである。相手は塚田正夫八段。三対二。この勝負が明暗を分けるだろう。午前十時二分、泥沼の戦いが静かに幕を開ける。坂口安吾の怪作将棋観戦記『散る日本』を原作に、戦争を知らない私たちの眼に映る血の記憶。

 


「DEAD THEATER TOKYO」

演出家:山田咲

キャスト:佐藤小実季 ほか

 

劇団紹介:2014年8月より山田咲と速水淑子を中心に演劇研究ユニオンとして始動。演劇というメディアと向き合いながら、今ここを「いまここ」にしている言説や歴史を解体し、相対化することを目的とする。性差を解体する理論を支柱に主体の枠組みを問いなおす作品をつくる。

 

作品紹介:クライストの戯曲『ペンテジレーア』を用いてのシリーズ第1作。今回はまず翻訳をテーマに戯曲を劇空間に立ち上げます。語りえないものに、語らずして近づくにはどうすればよいのか。アドルノのパラタクシス(並列構文)を適用して、このシリーズのために新たにドイツ語から翻訳した戯曲が、言語の壁を通り抜け舞台上の身体を動かします。

 


「ヘアピン倶楽部」

演出家:有川義孝

キャスト:有川義孝

 

劇団紹介:演劇とは何か? という、大きな疑問を足掛かりとして人が人の前で行う圧倒的に不自然な演劇、演技という行為そのものを検証して疑っていこうというある種の試みをもって、演劇ユニットを作る。人と人とがそこにいて、そこから生まれ出てくるものを紡ぎ出していく事を掲げ、試行錯誤を重ねながら、公演ごとに、様々な試みを行っている。

 

作品紹介:ゆで卵のつくり方を教えます。


「EgHOST」

劇団紹介: 2014年に旗揚げし、硬質な身体表現を武器に奇抜な上演スタイルでハイペースに公演を打ち続けている。その作品は、心の闇から光をサルベージする。

 

作品紹介: 雨が落ちる。その雫が止まって見えるほど引き伸ばされた時間の中ではきっと何もかもが違って見えるだろう。私は落ちていく……暗闇に底があることを願って。


 「7度」

演出家:伊藤全記

キャスト:中山茉莉 山口真由 荒井啓汰 林里奈 金子翔一

 

劇団紹介:2014年結成。既存戯曲を用いた作品創作を行う。物語としての戯曲の力を超え、情景描写に終わることなく「いかに(戯曲の言葉を)今を生きることばとして響かせることができるのか」を主眼におき、独自の視点や解釈を用いて舞台を構成。役よりも「人間」を見せることを重視し、一個の人間としての役者がイメージにとらわれず、自ら物語を動かす瞬間の創出を目指している。

 

作品紹介:アラバールは露骨な作家だ。「ゲルニカ」ではスペイン内戦を背景に老夫婦の会話が描かれる。妻は完全に瓦礫に埋もれ、姿は見えない。しかしこの異常な状況にそぐわず、会話に切迫感はない。劇中の彼らにとって生から死への移行は意外にフラットである。その境目を穿つものの残酷さは、彼らを「観る」ものにのみ明らかとなる。もう一度言う。アラバールは露骨な作家だ。そこから目を背けてはならない。

 


「テアトロ・マアルイin風蝕異人街」

演出家:こしば きこう

キャスト:三木美智代 岡田有香 本多竜二 平野たかし 倖田直機

 

劇団紹介:札幌アトリエ「阿呆船」を拠点に東京でも活動。2013年古典劇上演集団として旗揚。演劇の名画座の確立に奔走している。母体となる風蝕異人街は寺山修司作品上演集団として1997年に旗揚。日本国内に留まらず、2012~13年は2年連続、韓国の演劇フェスティバルに招聘されている。アングラ魂を内包しつつ独特の妖しさと色彩感覚を放つ演出、質の高い作品創りが定評。身体訓練メソッドに取組み、身体詩劇の上演やワークショップも行っている。

 

作品紹介:テーバイの王オイディプスの娘アンティーゴネは法を犯し、弟ポリュネイケスを埋葬しようとしていた。それを知った叔父である国王クレオンは、アンティーゴネを岩穴に幽閉する。そして、アンティーゴネは自ら首を吊って自殺。ブレヒトはソポクレスのアンティーゴネを敗戦後のナチス・ドイツの状況と重ね合わせ改作。国王クレオンを暴君として描いた。「プロローグ・1951」が加えられた。


「楽園王」

演出家:長堀博士

 

劇団紹介:楽園王は今年24年目の東京を拠点に活動する劇団。主宰の長堀博士が描く作品は「エッシャーの中に紛れ込んだよう」と迷路に喩えられ人気を博している。他劇団への書き下ろしも多い。「利賀演出家コンクール」にて「優秀演出家賞」を受賞するなど古典戯曲の演出家としての実績もあり、「Shizuoka春の芸術祭」へ二度の招聘、寺山修司「青ひげ」、エウリピデス「メディア」を上演した。「戯曲=詩」の考えから独特の表現を模索。

 

作品紹介:楽園王版の「授業」は、2004年に利賀演出家コンクールで「優秀演出家賞」を受賞した作品(札幌の風蝕異人街等も同時受賞をした)。不条理劇の「不条理」を現実世界の不条理……、理不尽で理屈に合わない不幸や言われなき悪意などに当てはめ、心に鋭く突き刺さる演出作とした。具体的には物語を戦場で行われている(かも知れない)こととして描き、今の時代にどうしても再制作して発表したいと強く望んでの発表に。 


「FAP’S企画」

 演出家:高野翔子

キャスト:女~田端皆美/男~古屋遼/声~小山由美子

 

劇団紹介:フリーで演劇活動を行う者を中心に、劇団等の枠を越えて集まり、舞台を造り上げていく。フリーだからこそ出来る自由な発想で、舞台造りを目指す。Freelance(フリーランス)、Activity(アクティビィティ)、Pretty(プリティー)からの造語でFAP’S(ファップス)企画と命名。

 

作品紹介:女は何故死ななければならなかったのか? 男は何を語るのか? そして、男の自問自答の果てには……。人間の内面に巣食うクロニック(慢性)的な闇を描いた作品。独白のみによる形式にある野心を抱いた著者の試作品の一つ。『クロニック・モノロゲ』はフランス語で「独白される社会記事」というくらいな意味である、と著者。昭和8年に初出。

 


「雲の劇団雨蛙」

演出家:岡田和歌冶

出演:杉澤愛理 他

 

劇団紹介:島根を拠点とする劇団。全国の面白そうなイベントを津々浦々としていたら、結成3年で200ステージくらいになっちゃいました。

 

作品紹介:「待ち続ける女」、「狂う女」というのが、能の作品も、今回演出する三島由紀夫作品でも二大テーマになっている。まさに「劇的だな」と思う。駅前の靴屋で、ハイヒールを品定めして店員に、何十足も持って来させている女性客を見た。これだけなら、何て言うこともないが。震災直後にこの光景を見た。何か狂っているように見えた。世間のノスタルジーに埋没させることなく、「花子」を捉えたい。「花子」の心はまっすぐなのだから。